パニック障害の方が飛行機に乗る時のコツ

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パニック障害の方が飛行機に乗る時のコツ

飛行機という「一度離陸したら途中で降りられない」密閉空間は、パニック障害の方にとって非常に強い予期不安(また発作が起きるのではないかという恐怖)を引き起こしやすい場所です。
しかし、事前に「自分で環境をコントロールできる要素」を増やしておくことで、脳の警戒アラームを和らげることができます。
体感覚、環境、事前の準備など、使えるコツをたくさんまとめましたので、飛行機に乗る際にはこのページを思い出してください。



【1】座席選びと機内環境のコントロール


●通路側の座席(特に後方、または非常口付近)
いつでもトイレに立てる、CA(客室乗務員)さんに声をかけやすいという安心感があります。後方の座席はトイレに近く、CAさんの待機スペースも近いため、万が一のときに孤立感が薄れます。

●送風口(つまみ)を全開にして顔に当てる
パニック特有の「息苦しさ」や「のぼせ」を感じたとき、冷たい風が皮膚に当たると、脳が「ちゃんと空気が流れている、息ができている」と認識しやすくなります。

●服装は「緩め」を重ね着する
ネクタイやベルト、締め付けの強い下着は、過呼吸や動悸の引き金になります。脱ぎ着しやすい緩い服を選び、機内の冷えや急な発熱(発汗)に対応できるようにしておきます。



【2】飲み物、食べ物に注意する

パニック障害のときは、脳が身体のセンサー(心拍や呼吸、温度)に対して過剰に敏感になっています。そのセンサーのボリュームを事前に下げておく工夫です。

●カフェイン、アルコール、満腹を避ける
緑茶やコーヒー、紅茶に含まれるカフェインは、心拍数を上げてパニック発作に似たドキドキ感を人工的に作り出してしまいますので避けた方が良いでしょう。
お腹がいっぱいになりすぎると横隔膜が圧迫されて息苦しさを感じやすいため、食事は腹六分目〜八分目にとどめましょう。

●GABA、テアニンを摂取
逆にリラックス効果をもたらすのがGABA,テアニン、ヘンプシードエキスなどです。アマゾンなどでCBDグミなども売っています。GABAは神経の鎮静効果が期待できるためパニックになりづらくなります。CHILL-OUTという飲み物が売ってますので探してみてね。またGABA入りのチョコレートなどは普通のスーパーでも売っていますので簡単に入手可能です。機内で食べながらリラックスするのも良いと思います。

こういう効果のある飲食物を摂取することで「これを飲んだから大丈夫!」「これを食べたからもう大丈夫!」という暗示効果は絶大だと思います。



【3】体感覚・五感をハックする(気をそらす・なだめる)

脳の注意が「自分の心臓の音」や「息苦しさ」に向いてしまうのを、外部の刺激でカモフラージュします。

●「狭い!」ではなく安全カプセル!
「狭い空間に閉じ込められる!身動きが取れない!息苦しい!」と考えるとパニックを誘発しそうですが、よく考えてください。実はそんなに身動きする必要もないんです。あなたの座っている座席は「閉じ込められている場所」ではなく、「自分だけの安全なカプセル(秘密基地、シェルター)」と考えましょう。

大きめのストールを頭からすっぽり被ったり、パーカーのフードを深く被ったりして、「視界を狭める」と安心感が生まれます。周りの乗客の動きや機内の広さが目に入らなくなるだけで、自分の世界に集中できます。ブランケットを胸元までしっかりかけるのも、圧迫適応(ハグされているような安心感)の効果があります。
「めぐりズム」などのホットアイマスクなども利用しましょう。視覚からの情報が多すぎると脳が疲労し、不安を呼びやすくなります。温かいアイマスクで目元を緩めると副交感神経が優位になります。

●離着陸時の耳抜きをする
気圧の変化で耳が詰まる感覚は、パニック障害の方にとって「息苦しさ」や「めまい」の引き金になりやすいです。
離陸の音が始まったら、すぐにガムを噛む、または飴を舐め始めることで、耳の詰まりを未然に防ぎます。どうしても耳抜きできない時には「大きなあくび」をすると、簡単に耳抜きできます。

●「氷」を口に含む / 冷たいペットボトルを当てる
搭乗前に購入するか、機内でCAさんに「氷を一杯いただけますか?」と頼んでみてください。口の中の強烈な冷たさや、氷が溶ける感覚に神経が集中し、パニックの波をそらすことができます。首筋や手首を冷やすのも効果的です。

●酸っぱい飴やミントタブレットを噛む
刺激の強い味覚(レモン、強いミント)は、脳の自律神経のパニックサインを一時的に遮断する(グラウンディング効果)のに役立ちます。

●ノイズキャンセリングヘッドホン + お気に入りの音声
機内の「ゴーーー」という重低音は、無意識に不安を煽ります。ノイズキャンセリング機能で遮音し、好きな音楽、ラジオ、お笑い系のポッドキャストなど「頭を使わずに聴けてクスッと笑えるもの」をあらかじめスマホにダウンロードしておきます。



【4】「お守り」としての事前準備

●薬は一番取り出しやすい場所に
主治医から頓服(抗不安薬など)を処方されている場合、バッグの奥深くではなく、ポケットや手元の小さなポーチなど、「1秒で取り出せる場所」に入れておきます。「いざとなればすぐ飲める」という事実だけで、飲む必要がなくなることも多いです。
抗不安薬(デパスなど)は効果絶大で、口の中に放り込んだだけで即効性があり、緊張が一気に解けていきます。パニックになりそうで心配の方は、ぜひお薬を持っていきましょう。

●あらかじめ水分(水)を多めに持っておく
喉の渇きや、飲み込みにくさ(ヒステリー球)を感じたとき、すぐに一口飲める水があると安心です。炭酸水も喉への刺激になっておすすめです。

●CAさんに事前に一言伝えておく
搭乗時、または座席についた際、近くのCAさんに「パニック障害を持っていて、少し緊張しています。もしかしたら途中で体調を崩すかもしれませんが、その時はよろしくお願いします」と伝えておきます。
航空会社のスタッフは体調不良の乗客への対応に慣れています。「知られている」という安心感だけで、予期不安は激減します。



【5】機内で不安の波が来そうになったら

どんなに強いパニック発作の波も、医学的には10分から長くても30分程度で必ずピークを過ぎて収まる(命に別条はない)という性質を持っています。

●万が一のためのレスキュー法
万が一、発作の波が来てしまった時のために、緊急回避のレスキュー方を覚えておきましょう。
(1)筋弛緩法
体に強い不安やソワソワ感が出たら、腕や足の筋肉に限界まで(5〜7秒間)ギュッと力を入れ、その後一気に「ふにゃあ」と脱力します(筋弛緩法)。これを何度も繰り返します。自分の身体を意識的にコントロールすることにより「ちゃんと自分で自分の身体をコントロールできるんだ」ということを自覚できます。また筋肉がほぐれることによってリラックスできます。

(2)エネルギー解放法
椅子の肘掛け(アームレスト)を「全力で」握り潰すように力を入れます(5〜7秒間)。「アームレストを握り潰すぞ!」というくらい力を入れてからパッと離すと、強制的に身体がリラックス状態に入り、パニックのエネルギーが抜けていきます。この時に緊張感やパニックのエネルギーが自分の身体から抜けて遠くに消えていくイメージをします。

●呼吸は「吐く」を意識(4・4・8の法則など)
息苦しいときは、吸うのではなく「まずしっかり吐き出す」ことが大切です。
4秒かけて鼻から吸い、4秒止め、8秒かけて口から細く長く吐き出します。これを数回繰り返すと、副交感神経が優位になります。

パニックになって呼吸が苦しくなると、息を吸い込むことに意識を向けると思いますが、そこで意識を切り替えて「息をゆっくり吐く」ことに意識を向けましょう。8秒かけてゆっくりと吐き出します。息を吐き切るとあなたの身体は自然と息を吸い込みます。

●「今、ここ」の物理的なものに目を向ける(5-4-3-2-1法)
「どうしよう」と思ったら、目に見えるものを5つ探す(前の座席の色、安全のしおりなど)、触れるものを4つ意識する(シートの布地、ズボンの質感など)、聞こえる音を3つ探す……というように、五感を使って意識を物理世界に引き戻します。



【6】フォーカスをコントロールする

不安障害の方、パニック障害の方は悲観的で、最悪の状況を考え、自分を脅す傾向にあります。ですから「パニックになったらどうしよう…」「呼吸ができなくなったらどうしよう…」とわざわざ自分が苦しくなる方向で考えてしまうのです。

悪い予測にフォーカスしないように、他のもっと楽しいことにフォーカスするようにしましょう。 例えば好きな本を読んでも良いですし、目的地に着いたら何しよう?と考えても構いません。最近はあらかじめスマホやPadに映画やドラマをダウンロードしておけば映像を楽しむこともできます。好きなアーティストの音楽を聴きながら穏やかに過ごすこともできるんです。
「楽しいこと」「落ち着くこと」にフォーカスを合わせて、のんびりゆったり旅を楽しみましょう。

●「推し」や「好きなペット」の画像・動画
「推し」や「好きなペット」の画像・動画をあらかじめローカルに保存してきます。可愛い動物の動画や、自分の好きな人・キャラクターの映像は、見るだけで脳内にエンドルフィンやオキシトシン(幸福ホルモン)を分泌させ、恐怖の神経(扁桃体)の興奮を鎮めてくれます。



【7】マインドをコントロールする

発作が起きると「死んでしまうかも」「狂ってしまうかも」という思考(カタストロフィ思考)が浮かびますが、これは「逃げなきゃ!」と脳内からアドレナリンが分泌されているだけなのです。危機に直面していると勘違いし、脳のアラーム警報が誤作動しているだけです。まずはそのことを知っておきましょう。
そして、下記のような言葉を自分自身に伝えてください。

「これはただの自律神経のバグ(誤作動)だ」と言葉に出す(口パクでもOK)。
「今、心臓がバクバクしているのは、飛行機が怖いから脳が勘違いしてアドレナリンを出しているだけ。10分で消える嵐だ」と、実況中継するように客観的な事実だけを頭の中で呟くと、恐怖に飲み込まれずに済みます。

パニックは無意識の思考と身体の反応が直結してしまうのでなかなかコントロールするのが難しいのですが、普段から下記の言葉を意識することで、飛行機以外の場面でも不安になることが少なくなるとても本質的な方法で、セルフコントロールに役立つものです。
日常のあらゆる場面で下記の言葉を意識するように心がけてください。


●常に楽観的に考え「何とかなる!」「何とかなるっしょ!」と自分に言い聞かせましょう。
●運命を受け容れる。いくら考えても未来のことなんかわかりません。わからないからこそ怖いのですが、恐れすぎていては何の行動もとれなくなってしまいます。ですから「そん時は、そん時や」と自分に言い聞かせましょう。
●諦める。この世の中を生きていると自分の想い通りにならないことがたくさんあります。そんな時は「そんなもんだよなぁ」「そんなもんやで」という言葉で現実を認識し、受け入れて行きましょう。



【8】誤警報だということを知る

パニックは、そもそも「誤警報」だということを知っておくことが大切です。自分で「パニックになったらどうしよう!?」「呼吸ができなくなったらどうしよう!?」と自分を脅した結果、間違った警報を鳴らすのです。

ですから、パニックになりそうな時にでも状況を客観視(メタ認知)して「おっ?誤警報が出そうだぞ」と自分の脳と心と思考を客観的に観察して、認知してあげましょう。
それからこの誤警報の波はいつまでも続かないことを知っておいてください。その時は苦しくて動悸がして怖いかも知れませんが、それがずっと続くわけではありません。大抵は自然と治まっていきます。



スモール・ステップで進める

事前に、少しずつステップを踏むことも大切です。
いきなり長時間のフライトに挑戦するのではなく、まずは1時間程度の国内線を利用してみる、飛行機に乗る動画を家で見る。→ 空港に飛行機を見に行くなど、段階的に慣らしていくのも非常に有効なアプローチです。

当日は「途中でパニックになっても、それは脳の誤警報だから大丈夫」と、あらかじめ自分に許可を出してあげてくださいね。




Author:水元和也


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