原因①と原因②

TEL:042-641-3654AM10:00〜PM21:00

現在の原因が大切

前頁「原因と結果の法則」で書いた通り、すべての結果には、必ず原因があるのです。
しかし、心理的困難を抱える方の多くが、現在の原因ではなく、過去の原因を探ろうとしてしまうため問題が解決しなくなってしまうことが多いのです。
人生を素早く変化させるために、現在の原因に焦点を絞って考えてみましょう。


原因①と原因②

原因があるから結果があるのですが、原因には「原因①」「原因②」の2つあるのです。

原因①

原因①とは、過去からの原因。現在の思考を形作る要因です。
私たちはさまざまなものに出会い、それらに影響を受けながら信念や価値観を形作っていきます。
幼少期の育てられ方や、育てられた環境。出会ってきた学校の先生や友人。学校での生活。出会ってきたマンガやアニメ、テレビ番組、観てきた映画やドラマ、読んできた本などにより、私たちは信念や価値観を形成します。
時々「親の影響なんか関係ない!」という方に出会いますが、例えば日本語はどうでしょうか。あなたは日本語を理解しています。しかし、日本語を理解するために語学学校に通った覚えはないと思います。つまり、自然に親から、あるいは環境から何らかの影響を受けながら育ってきたのです。


原因②

原因②は、現在の苦しみをもたらす原因。
自己否定、自分を責める。自分の不安を煽るなど、今現在の自分が、自分に対して行っている、あるいは言い続けていること。
原因②は、原因①によって形成された「信念(Belief)」や「価値観」のことです。
もし、そのせいで人生が上手く行っていないとするなら、原因②の信念や価値観を変えることにより、人生を変えることは可能なのです。


変えられない原因①と
変えられる原因②

原因①は、いくら考えたところで変えることができませんので、手放すしかないのです。「親の育て方のせいで、今の苦しい自分がいる!」と、いくら恨み言を言ったとしても何ひとつ変えることはできないのです。確かに素晴らしい親ばかりではありません。むしろ、子供の価値観を否定する親の方が大多数と言えます。
しかし、 あなたの過去をなかったことにすることもできませんし、あなたの過去を、誰か別の人の過去と差し替えることもできないのです。

原因②の「現在の苦しみ方をもたらす考え方」はいくらでも変えることができます。ですから、ここにフォーカスしてみましょう。原因①によって形成された信念、価値観を自分自身の力で書き換えて行くのです。
例えば、うつ病系の方の考え方では「自分はダメな人間だ」「自分は頭が悪い」「自分は迷惑ばかりかけている」「生きていてもしょうがない」などの思考が顕著です。
また、不安障害系の方は「どうしよう…」という自分の不安を煽る思考が大きいのです。「失敗したらどうしよう?」「間違っていたらどうしよう?」「笑われたらどうしよう?」「バカにされたらどうしよう?」「人に迷惑をかけたらどうしよう?」「空気が吸えなくなったら…」「閉じ込められたら…」などの、恐怖心が主たる原因です。
この原因②の考え方を変えて行けば、問題は解決するのです。


再プログラム

私たちの思考は、教育によりプログラムされたものです。
例えば「人の嫌がることをしない」というプログラムをされてきた方はたくさんいると思います。でも、交通標語のようにどこか他人事で、実際にそれを遵守している方は少ないかもしれません。そして「人の嫌がることをしない」と言われたときに、あなたの頭の中に湧いてくるイメージは、「人が嫌がっている姿」なのです。「こんな意地悪をするとあの人は嫌がるだろう。それをやめよう」とイメージしてしまうのです。

このプログラムを少し変えてみましょう。
「人の喜ぶことを積極的にやろう!」と自分で決定することです。この時に頭の中でイメージするのは「人々の喜ぶ姿」なのです。こんなことをすれば、あの人は喜ぶかな? こういう風に言ってあげれば、あの人は喜ぶかな?と考えるようになります。
ほんの少しプログラムを変えるだけで、人生は大きく変わっていきます。

つまり、これまでの形成された信念、価値観で上手く行っている部分は変えなくても良いのですが、もし上手く行っていない部分があれば、その部分だけ再プログラミングして書き替えれば良いだけなのです。


誰が再プログラムするのか?

自分自身でできます。親により、あるいは環境により「上手く行かないプログラム」を与えられている場合は、書き替えた方が得策です。
書き替えるためのヒントはそこかしこに転がっています。良い先生もいますし、良いセミナーもあります。良い本を読むこともできます。それを自分の中に取り入れ、自分を再教育(再プログラミング)すれば良いのです。素晴らしい彼(彼女)に出会い、素晴らしい教育をしてもらえる可能性はありますが、その可能性はとても少ないですし、自分がそれを受け入れなければすべては無駄になります。
自分から積極的に勉強して、取り入れ、それを実行することが一番の近道なのです。


常に意識してみる

これまで「原因①」だけに囚われていた方もたくさんいらっしゃると思います。「あの時こうだったから…」「あの時、こういう風に言われたから…」などです。
あなたの人生に起こった出来事は不条理で悲惨極まりない事なのかもしれません。それは理解します。自分だけ不当に扱われたり、自分だけ損をしたり、自分だけ悲しい思いをしたこともあったのかもしれません。
これまでも、そんなことをずっと考えてきたと思いますが、結果的に、人生は何も変わっていないのではないでしょうか。この先の10年間、今までと同じ思考をしても何ひとつ変わることはありません。自分が苦しいだけなのです。

これからは、自分の心理的な困難をもたらしている思考「原因②」を、常に意識してみましょう。苦しみや辛さ、しんどさは原因②によってもたらされているのです。原因②はいくらでも変えられますし、それを変えた後の人生は、これまでとは違った人生になるのです。


Author:水元和也


ar心と人生の変え方 TOP
arセラピールーム・ソラ TOP



back前のページに戻る