うつ系 or 不安系
心理的困難を抱えていらっしゃる方は、「うつ系」か「不安系」のどちらかに大別できます。もちろん、大抵の方が落ち込むこともあるでしょうし、不安になることもあるでしょう。
自分がうつ系なのか不安系なのかは、そのどちらかが強く前面に出ているかで判断できますし、先にどちらを改善するかを決めることができます
思考を探る
上記は思考のフォーカスがどちらを向いているのかの説明図です。
過ぎ去った「過去」のことばかりを思い出す方、未だ来ていない「未来」を想起して不安になる方は、それを考えることが習慣化してしまっています。
●うつ系の方
自分の思考の多くが過去を想起してしまう方はうつ系統です。過去の失敗や怒られたこと、責められたことなどにフォーカスしてしまう傾向があります。イヤな記憶につきまとわれ、苦しみます。
自分にダメ出しし、責め立て、落ち込むという自己攻撃プログラムです。
●不安系の方
自分の思考の多くが、まだ起こっていない未来のことにフォーカスしてしまい怖くなったり不安になったりします。不安系の方は「～どうしよう？」という思考パターンがあります。「失敗したらどうしよう？」「上手くできなかったらどうしよう？」などです。
怖がりなため、一歩踏み出せないことが多く、自分の人生を生きられません。
そして、寂しがり屋の方が多い傾向があります。
これから起こるかもしれない失敗や間違いを想起し不安を煽る自己攻撃プログラムです。
●どちらもある方
どちらもある方が一般的です。
ですが、その強度においてまったく同じレベルということは少なく、どちらかが優位になります。どちらかというと過去の失敗を多く思い出していたり、どちらかというと未来の不安を感じることが多い傾向があったりします。
これは思考のフォーカスの問題ですので、過去の失敗と未来の不安をまったく同時に思い出すことは不可能です。ある瞬間は、必ずどちらか一方を想起しています。
まずは、知ること
まずは、自分がどちらの傾向性が強いのか（もしくは、どちらの思考で苦しい想いをしているのか）を知ることから始めてみましょう。それが、改善への足掛かりとなります。
さて、あなたにはどちらの思考が多いでしょうか。
発症する症状が違う
うつ系と不安系では、発症する症状が違います。
●うつ系
不眠症（寝つきが悪い、入眠障害）、落ち込み、摂食障害（拒食、過食）、自信がない、楽しくない、自殺企図、希死念慮、リストカット、やる気が出ない等々。
自分をダメな奴と思う。自分には価値がないと思う。
●不安系
中途覚醒、早朝覚醒、パニック障害、不安神経症、強迫性障害、自己臭恐怖、醜形恐怖、等々
「こんなことになったら、どうしよう？」と不安で心もとない感情を感じる。
●併発
うつ系と不安系の思考が強いレベルで内在していると、乖離性同一性障害や統合失調症などの症状を呈することが多くあります。
ちなみに「乖離性同一性障害」は、ややうつ系が強く出てきますので、うつ系の改善アプローチから始めます。徐々に自分を責めなくなり、自己価値が上がってきた段階で、今度は不安に対するアプローチを行うことが改善への近道です。
「統合失調症」は、やや不安系が多い傾向性がありますので、不安改善のアプローチから始めます。不安が減り、少しずつ安心感を持てるようになった段階で、自分を責めることを止めるうつ系改善のアプローチへと移行します。
Author:水元和也
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