自傷行為とは
自分の身体を意識的、無意識的にかかわらず傷つける行為全般を指します。
リストカットなど自分の身体を意図的に傷つける行為は多く見られます。
自殺企図を伴うオーバードーズも自傷行為の一部と言えるでしょう。
また無意識的に行う行為として、壁に頭を打ち付ける、ツメ噛み、抜毛などもあります。
自傷行為が始まるのは、精神的に最も不安定な時期から数年遅れることもあります。
リストカットを含む自傷行為は、若ければ10歳前後から始まります。
精神的な強い憤りや悲しみ、空虚感、不安などがあり、その感情の救済としてリストカット等の自傷行為をします。
リストカットをすることで、心の中に溜まっていた負(マイナス)の感情が解放されるため、一時的に楽になれるのです。そうすることで、一時的ではありますが、精神的な安定を取り戻すことができます。
オーバードーズなどの薬物過剰摂取の場合は意識や感情を終わらせたいという意識が強く、苦しみに満ちた現状を回避したい欲求の現れです。
感情を殺しているため、同時に身体の感覚も無くなり、リストカットしても痛みを感じないことも多くあります。
自傷行為の原因と克服
自罰的な行為。
つまり自分を罰するということは、心理の根底には、大きな「罪悪感」を抱えています。
「私は悪い子であり、罰せられるべきだ」という考え方が根底にあるのです。
「自分はいらない子」
「自分は迷惑な存在」
だと思っています。
ですから、精神的に苦しみ、常にストレスにさらされ、内圧はどんどん高まっていきます。
そして、その内圧が我慢できないくらいに膨らんだ時にリストカットすると、スーっとスッキリするのです。
いじめを考えてみてください。
毎日、不当に「お前なんていらない子だ」「迷惑だ」と言われ続けたとします。それをずっと言われ続けたら「うぅぅぅ!」と精神的に苦しみの内圧が高まるのは想像できると思います。
いじめは外的要因ですが、そのいじめっ子が自分の内側にいたとします。
そうすると24時間、365日、逃れることはできなくなってしまいます。
それは地獄の苦しみです。
生育環境
自傷行為は幼少期の生育環境が大きく起因しています。
(アダルトチルドレンの頁をお読みください)
心理的な虐待のために自己の感情を上手に表現できなかったり、必要以上に自己の感情を押さえ込む習慣があります。
苦しみや悲しみ、辛さを箱の中に押し込んで、苦しい感情をできるだけ感じないようにしています。
選択的に苦しみだけの感情を抑え込んでいるわけではなく、すべての感情を同時に抑え込んでいるために、喜びや楽しさ、嬉しいといった感情も抑え込まれてしまいますので、人生が楽しくない状態です。
また、完璧主義の傾向があり、自己価値や自尊感情が低く、自己の存在を自分で認められない傾向にあります。抑うつ的な症状があり気分が落ち込む日が多くあります。
心理的な背景としては他者により認められたい、理解して欲しいという欲求があり、必要以上に頑張り屋さんで責任感も強い傾向にあります。
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アダルトチルドレン |
改善へのアプローチ
完璧主義を止め、自己を受容し、自尊感情を育てることが回復へのアプローチです。
鬱が改善すると、自然とリストカット等の自傷行為は消失するため、直接リストカットを止めさせるのではなく、鬱の改善すること先決になります。
リストカットへの誤解
リストカットをしている人は誤解されがちです。
「どうせ、かまってちゃんなんでしょ?」とみられることもあります。
しかし、この考え方は適切ではありません。
その証拠に、すべての人がリストカットしているわけではなく、アームカット、レッグカットというように、できるだけ他人から見えない場所を切り始めるようになる方もいるのです。
もちろん、少しは「この苦しさを誰かに理解して欲しい」という思いはどこかにあるのでしょうが、それはあくまでも二次的なことなのです。
リストカットする人は
「傷のある変な人」や「かまってちゃん」ではなく、真面目で頑張り屋さんで、責任感の強い、「自分に自信がない人」「謙虚な人」なのです。
周囲にリストカットする人がいる場合
自分の大切な家族や友人がリストカットしていたら、何とかして止めたくなってしまう気持ちはわかります。
しかし、止めようとしないでください。
彼ら、彼女らは、決して死ぬためにリストカットしているわけではありません。
生きるためにリストカットしているのです。
それをすることで、ようやく生きていることができるのです。
現時点での、唯一のストレス解消法を取り上げられたら、ますます苦しくなってしまいますので、リストカットについては温かく見守ってあげましょう。
「苦しいことがあったんだね」って声をかけてあげるだけでいいんです。
そして、
「いつでも一緒にいるからね」
「友達だからね」
「いつでも味方だよ」って言ってあげてください。
本人の意思でリストカットしているのに、それをやめさせようとしたら、それは否定になります。
自由を奪われ、否定されてしまったら、さらに苦しくなってしまうのです。
周囲がしてあげられること
リストカットする方は、「自分は必要のない人間」「迷惑な存在」と感じています。
ですから、常に味方でいてあげることが大切です。
何かやって貰ったら、感謝の言葉を伝えてあげてください。
そして、その人がいることで役立っていることを教えてあげてください。
「あなたの声を聴いているだけで、なんか和やかな気持ちになる」とか「いてくれるだけでホッとする」とか、そういう気持ちを伝え、暗に「あなたには存在する価値があるんですよ」ということを伝えるようにしてあげましょう。
存在自体を肯定的に扱ってあげてください。
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