カサンドラ症候群とは、アスペルガー症候群(自閉症スペクトラム障害)の夫または、妻(あるいはパートナー)と情緒的な相互関係が築けないために配偶者やパートナーに生じる、身体的、精神的症状を表す事を言います。
症状としては、片頭痛、過食、食欲低下、抑うつ症状、パニック障害、無気力、自己評価の低下などがあると言われています。
アスペルガー症候群の男女比は、8:1とも言われており、
男性の方が多いため、カサンドラ症候群で悩むのは、女性側であることが圧倒的に多いと言われています。
ですから、今日はアスペルガー症候群の夫に持つ、女性に向けてお話しをさせて頂こうと思います。
アスペルガーの方の特徴として、
・空気が読めない
・人の気持ちが分からない
・会話がかみ合わない
・未来への予測能力がなく、その場しのぎ
・感情なく思考をする
などなど、がありますよね。
*アスペルガー診断テスト↓↓↓
https://cocoro-sora.net/symptom/check/ASD/index.html
また、アスペルガー症候群の中にもタイプがあります。
1、孤立型
自分の考えに凝り固まり、理想的な生き方を目指していく最も社会的接触をしないタイプ。
2、受動型
分からない事が分からないので、分からなくても分からないと言えない。自分の感情が分からないので、自分のことを話すことが苦手。自立性がないので、自己主張をあまりしない受け身型。言葉通り受け取る。細かい指示がないと行動出来ないタイプ。
3、積極奇異型
他者と付き合いたいという気持ちが強く接近するものの、相手の気持ちを考えることが乏しく、執拗で奇妙な接近の仕方をする。一方的によく喋るタイプ。
4、尊大型
なんでも人のせいにする。正論をよく言う。怒りやすく、自分の事しか考えられないタイプ。
5、大仰型
孤立型が独自に社会適応力を上げてきたタイプ。動きがゆっくりしていて頻繁に敬語を使う。時に過剰に丁寧な敬語を使う事がある。
どのタイプの夫であるかによっても、妻の苦悩は大きく違うと思います。
例えば、尊大型の夫である場合は、周りからはいつも妻が怒られているという構図に見えるため、ある程度同情してもらえる事もあります。
しかし、受動型の夫の場合は、夫が妻から一方的に怒られている、ヒステリックな妻だと誤解されてしまい、妻の苦悩を理解してもらう事が難しい場合が見受けられます。
どのタイプにせよ、アスペルガー症候群の夫と生活をするというのは、
感情の交わりが出来ないため、大きなストレスを伴う部分が非常に大きいのだと思います。
そして、「誰も悪くない」という、当たり所のない事実が、妻を追い詰めてしまうのだと思います。
そもそも、アスペルガーの方と、定型発達の方は、同じ場所に立っていても見ている景色が全く違うのです。
私達は本来同じ場所に立っていれば、同じ景色が見えているだとうと思ってしまいがちです。
その当たり前と思っている常識が全く通じないために、定型発達の妻は、一生懸命理解しよう、理解してもらおうと奮闘し、結果が出ない事に疲弊するのです。
どれだけ時間をかけて話し合っても、本質は何も伝わっていない。
アスペルガーの夫からすると、何故妻が文句を言ったり、怒っているのか全く分からないため、その無意味な議論を早く終わらせようと、表面的に謝罪したり、分かった振りをするのです。
しかし、本質は理解できていないので、話し合いの内容も覚えていないですし、
同じ事を何度も繰り返して、妻を怒らせたり、絶望させたりします。
子供に対しては、基本的に無責任・無関心であるため、しつけや子供の成長を促すための関わり合いをする事が出来ません。
ただただ、子供に気に入られようと甘やかしてしまったり、妻の教育の意図が分からないため、
「お母さんが怒っているから、早くこうしよう」
などと、子供に言ってしまう事も多いのだと思います。
子供が居る場合、夫婦関係だけでなく、子育てでも大きなストレスを抱える方が多いのだと思います。
では、アスペルガーの夫と上手に付き合っていくにはどうしたら良いのか。
1、相手と自分が見えている世界が全く違うものである事を受け入れる。
相手との距離が近いほど、分かって欲しい、理解し合いたい、同じ方向を向きたいと、
思うものです。アスペルガーの方と定型発達の方を繋ぐ、優秀な通訳さんがいれば、分かり合
う事は多少は可能かもしれません。しかし、残念ながらとても難しいですよね。
自分が嫌な思いをしないために、夫と分かり合うのは無理だと諦めてしまいましょう。
2、相手の言動・行動を面白がってしまう。
自分の価値観で夫の言動と行動を見ていると、イライラが募るだけだと思います。
「変な人」「面白い人」と思って、夫を客観視して楽しんでしまうのも一つです。
3、期待しない
夫と話し合いをして、分かってくれたように感じても、恐らく理解できていません。
「次こそ変わってくれるだろう、分かってくれるだろう」という期待はやめましょう。
期待していると、思い通りにならなかった時に、絶望し悲しむのは自分です。
そんな辛い思いを繰り返すのなら、いっそ潔く、「どうせ分かってないでしょ」と、
最初から思っていれば、気持ちの波が小さくて済みます。
変わりに、夫の事を分かってくれる人と繋がりを持つ事も有効だと思います。
自分を分かってくれる人が居るのと居ないのでは、精神的負担は大きく違うと思います。
4、夫に怒られても、夫を怒ってしまっても自分を責めない
人間には本来、承認欲求があります。みんな、自分の事を分かって欲しいし、認めて欲しいと思っています。
ですから、夫婦間で承認欲求が満たされないと、お互いに怒って、お互いを批判したり、非難したりという事が起こります。
もちろん、お互いに怒らないよう努力する事は必要ですが、人間はそんなに完璧には生きられません。
夫から否定的な事を言われても、夫に否定的な事を言ってしまっても、
「仕方ない。考え方が違うのだからこういうこともあるよね」
「誰も悪くないのだ。見てる世界が違うんだよね。」
と、自分を責めないように、自分で自分を守りましょう。
5、夫の良い所だけを見続けましょう
一緒に生活して、自分の思った通りにしてくれないと、ついつい夫の欠点ばかりが目にがいりがちです。
悪い所ばかり見つけていると、盲点が出来て、大事な事を見落としてしまいがちになります。
しかし、あなたが選んだ人ですから、良い所も沢山あるのではないでしょうか。
優しい、仕事に一生懸命取り組んでいる、自分と関係を続けようと努力はしてくれている、
教育は出来なくても子供には優しく接してくれる・・・など。
良い所はどんどん褒めてあげましょう。そして、褒めてあげられた自分をもっと褒めてあげましょう。
お互いの自己肯定感を上げていくためには、とても大事な事です。
実際に行動していくのは、とても大変だと思いますし、割り切れない事も沢山あると思います。
もし、アスペルガーの夫と、これからも共に生活をしようと決意されておられるならば、
出来る事から始めてみてください。
これまで頑張ってこられたあなたは、本当に素晴らしく、優しい方なのだと思います。
頑張ってきた自分を沢山褒めてあげましょう。